4年ぶりのトレラン大会参加⛰に向け、気持ちを盛り上げトレランに対する考え方や走り方、注意する点などを思い出すため、ある本を取出し読み直してみました。
「トレイルランナー鏑木毅」
50歳を越えた今も選手、講師、コースディレクターをして活躍されている日本のトレラン界の第一人者。
トレランに少しでも携われば必ず耳に入ってくる名前です。
この本は125ページの読みやすい本で、序盤のUTMB(ウルトラトレイル・ツール・ド・モンブラン)参戦記の臨場感とトレラン愛にあふれる筆運びに引き込まれ一気に読了しました。
ランニングの経歴は決して恵まれてばかりではない中、トレランと出会い、競技者として注目されプレッシャーを感じ競技しながらも楽しむ境地に至るまでを、レース体験を交え物語調に進めながら、トレランに対する考え方や練習方法を凝縮した内容です。
読み進める中でトレランの楽しさ面白さを再確認、走る前や走るときの心得についても改めて振り返ることが出来ました。
トレランに興味のある方、これから始めようとしている方、すでにトレランにはまっているが初心に戻ってトレランのことを勉強したい方には是非読んでいただきたい一冊です。
遊び心と楽しさ
著書の中では随所に「楽しむ」という言葉が出てきます。
プロのトレイルランナー、世界のトップランナーとして注目を集める中でプレッシャーや緊張感から競技自体を楽しめなくなることに対しての危惧が伝わってきます。
好きで始めたトレランを好きでい続けたい想い、競技者として結果を出し続けなければいけない責任の狭間で、やはり「トレランを愛している」自分を見つけたのではないでしょうか。
そして大好きなトレランを続けるためには「鍛える事と楽しむことのバランスが大切」と言う答えに辿り着いたのだと感じます。
沢山の楽しみ方のあるトレイルランの中で、最初の大会で味わった「下りの陶酔感」が忘れられずに自然と山に向かうようになったとあります。
自分の思うようなコース取りで石や木の根や枝などの障害物をかわしながらリズムよく下れたときの楽しさはアマチュアでも快感になります。
また、山に登らなくても都市部や海岸線の起伏も楽しめると述べられています。
アップダウンのあるコースを選んで行うロードでのランニングは楽しくトレランの良い練習にもなります。
「トレラン旅行」と「温泉巡り」が大好きな著者は、情熱を維持するためのリフレッシュ効果のあるトレラン旅行や、お気に入りのマイコースを疲労回復に効く温泉とセットで楽しんでいるようです。
著者のように鍛えながら楽しむ、楽しみながら鍛えることが出来れば素晴らしいですね。
トレイルとロードの違い
トレイルとロードでのランニングの多いな違いは3つあると述べられています。
- 1つ目は「垂直方向の意識」
ロードの「水平方向への移動」に加え体を上方向に引き上げる能力で、実際のトレランと垂直方向を意識したトレーニングで身に着くとされています。
- 2つ目は「特殊な心肺機能の使い方」
トレイルランでは、ロードとは違った心肺の動きが特徴です。
ロードの大会では、最初に大きく心拍数が上がりその後は安定したペースになりますが、トレイルでは上りに急激に心拍数が上昇、下りで急に下降と心拍数の振れ幅が大きいことが特徴です。
- 3つ目は「下りの技術」
ロードにはない独特の下りの感覚、岩場や土、がれきや砂利など様々な路面を木の根や石などの障害をかわしながら体をひねり、素早く安全にそして体に負担を与えないように下らなければいけません。
この特別な心肺機能、下りの動きに慣れるには実戦でトレイルに出るしかありません。
ロードとの3つの違いを意識し練習や大会に臨まなければいけないということです。
ロードでの練習方法
トレランでは「上向きの脚力の養成」「山に耐えられる心肺機能の養成」の2つが重要と言うこと。
基礎体力作りのためのトレーニングはロードランニング。
著書の中では走者のレベルにより心拍数から計算したスロージョグ、ジョグ、ミドルランニング、ファーストランニング、階段トレーニング、ステップマシーン、トレイルランニング、起伏走を効率よく混ぜてトレーニングすることがすすめられています。
ロードランニングのペースはスロージョグ、ジョグが中心です。
若いころ故障で長く苦しみ、ゆっくり長く走る事の重要性を理解しトレイルランナーとしての土台作りを行い「ランナーとしての器を大きくする」ことを実践してきた著者ならではの考え方はLSDの考え方にも大いに通じるものがあります。
ご自身が故障が多く悩んだ時期が多かったこともあり、脚を休ませることについての重要性についても触れている箇所が多いです。
水泳やマシーントレーニングを推奨。
脚に負担のかかるトレイルの練習ばかりでは競技を長く続けることは出来ないということですね。
トレランの功罪
ランナーにとって興味深い「トレイルを走るとロードが遅くなる?」と言うことにも触れています。
ロードほどのスピードは要求されないのでスピードは上がりにくいが、間違いないのは脚持ちが良くなること。
トレランとロードをうまく併用する自身にあったトレーニングを行うことで強く速いロードの技術を身につけることも可能かもしれないですね。
自分と自然と向き合う
著者が「トレランレースに勝つ秘訣は何ですか?」の質問に対し「相手と競わない事」と答えるくだりがあります。
相手を意識すると自分や自然と向き合う意識が薄れる、好結果の時は相手を意識しないときの方が多いと述べられています。
「レースをしては、レースに勝てない」
まさにそのとうりであると思います。
自然を大切にし自分を大切にしてトレイルランと向き合う著者の強さと優しさ、人間性のにじみ出た一冊。
一つのことに情熱を注ぎ続けた人間の偉大さを感じます。
この感動を胸に明日の神戸六甲縦走トレイルランに向かおうと思います。
自分との対話と六甲山系の自然を楽しみながら☺
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